少年法の適用年齢引下げを巡っては、選挙権や民法上の成年年齢の引下げを受けて具体的に検討されるようになった。一般的な世論調査では、人々の厳罰志向性もあり、この改正に賛成の意見が多くみられた。最終的に18歳、19歳について原則逆送とする対象事件を拡大する方向で法改正がなされることとなったが、なお、少年法の在り方については議論が続くことが考えられるし、世論の厳罰志向を背景とした少年法への改正圧力が直ちになくなるとも考えにくい。そのような状況にあって、本研究の調査は、そこでの世論がどのようなものであるのかを多面的に検討し、刑事政策上の議論における世論の位置づけを冷静に見極める必要性を示すものである。
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