倒産手続において用いられるいくつかの基本概念(具体的には、破産手続開始及び否認要件として用いられる支払不能概念、債権者平等に関わる諸概念(有害性、相殺の合理的期待、別除権)、手続対象財産に関する概念(取戻権、倒産隔離)を取り上げた。)について改めて検討を行った。こうした基本概念はその殆どが戦前の破産手続との関係で導入されその素地が形作られてきた一方で、近時はそれらが破産手続のみならず再建型の倒産手続(民事再生ないし会社更生手続)にも応用されていることを意識しつも、概念の生成過程における議論の歴史的展開を十分に踏まえた上で、概念の内容理解についての現代的な分析視角を得ることを試みた。
|