最終年度にはドイツとイギリスの最新の裁判例・議論(特にドイツの非婚の継親による継子養子縁組に関する法改正、養子縁組支援法改正をめぐり)の動向について更に調査し、比較研究の成果をまとめた。 研究期間全体にわたり、未成年者の継子養子縁組の有り方及び必要性をめぐる各国の議論・裁判例・関連立法を調査・検討した。ドイツとイギリスではステップファミリー(以下:SF)の多様性等を考慮し、継子養子縁組以外の選択肢を用意してきた(継親への親権・監護権或いはその一部の付与(ドイツ:BGB1687b条、イギリス:CA 1989 s. 4A(1); s. 12(2); 14(A));同居実親が亡くなった場合子が継親の下に残れる法的手段(ドイツ:BGB1682条)等)。両国においてこれらの法的手当の要件等(実親と継親が法律婚している場合に限るか、付与期間、裁判所の関与の有無等)が異なり、それぞれにメリットとデメリットがあることが分かり、日本で検討すべき点を明らかにした。SFの多様性を考える上で、日本でも継子養子縁組以外の選択肢を用意すべきである。この選択肢を検討する際に、以下の点につき検討すべきであると思われる。1.継親の権限・義務の範囲と終了時期。2.継親への権限の付与手続き。3.継親・実親、別居親の紛争解決の仕組み、等。 SFによっては継子養子縁組が適切な場合もあるが、日本の現行法上の継子(普通)養子縁組の有り方(裁判所の許可が不要であること等)につき、以前から批判がある。イギリスとドイツでは、継子養子縁組の場合も裁判所が関与し、子の福祉との合致を確認する。更に、養子縁組が締結されるまでのプロセスにおいて、各養子縁組の動機等の確認、別居親を含む当事者全員への相談・助言、養子縁組の法的効果及び養子縁組以外の選択肢の紹介が行われる。以上のプロセスが日本でも参考になると思われ、紹介・検討する意義が大きい。
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