研究課題/領域番号 |
18K12672
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
平野 秀文 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (60779544)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 委任 |
研究実績の概要 |
2019年度まで,Stracchaを一つの柱として民法上の契約と民商事法の接点をさぐる作業が想像以上に難航していた。2020年度は,状況を打開すべく,委任に関するフランス古法学説を突破口として視覚を再設定することを試みた。「古法学説にみる委任事務の財産構造」(近日公表予定)がその成果である。古法時代の委任契約につき,Pothierの記述に沿って,受任者の報告義務と委任者の償還義務とを検討し,この二つの義務のなかで委任事務における計算と危険の領域が観念されていることを示そうとしたものである。議論の文脈という観点からは,報告義務については,主題の商取引との親和性にもかかわらず商事法の議論との応接の痕跡が乏しいこと,償還義務については,先行研究に拠りつつ,中世の註釈学派および註解学派以来の文脈のなかに位置づけうるが,独自性も目立つこと,いずれの義務においても組合論を参照しているところ,償還義務は伝統的にそのような議論が存在したのに対し,報告義務でも細かい点で組合に言及しており,それを通じて計算と危険に関する構想が示唆されること,を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までも進捗状況は芳しくなかったが,今年度はそれに加えてcovid-19の流行により国内・国外を問わず出張等による調査研究が著しく困難になったこと,また同じ理由で研究機関における各種の業務をオンライン対応に移行させる必要があり,研究時間を圧迫したこと,が大きく響いた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトの最終年度である本年度は,資料面の拡充を急ぎつつ,引き続き研究成果の発信を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査研究がCovid-19の影響で延期となったため。
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