研究課題/領域番号 |
18K12672
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
平野 秀文 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (60779544)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 委任 |
研究実績の概要 |
前年度に本欄に記載した成果である「古法学説にみる委任事務の財産構造」が公表された(別掲)。また考察の立脚点を前年度からフランス古法学説に再設定したことを受け,2021年度もその方向から,同じく委任を中心に検討を進めた。その過程で,しばしば重なるように蓄積されている二次文献の状況に鑑み,委任と併行しながら,代理の先行研究の消化にも着手した。民商事法の関係についても引き続き検討している。この間,法史学の教材(2022年出版予定)のなかで担当させていただいた「委任」の項目では,フランス古法学説を検討した前年度の研究成果から問題意識を繋ぐ意味も込めて,受任者の委任の引受けの無償性,受任者が支出した費用や被った損害についての委任者の填補義務(償還義務),などをはじめとする基本的な論点に絞って,ユスティニアヌス法典を一応の出発点に,中世ローマ法からフランス古法を経てフランス民法に至る文脈を,主要な学説および裁判例を踏まえつつ確認する作業を行った。フランス民法の成立においては,委任の無償性を原則の地位に後退させ,いわゆる有償委任を是認することで,現代の委任法が,その一応の出発点から基本線においてどのような変容を被っているかを記した。扱った論点自体はすでに知られているものばかりであり,内容においても研究の成果というよりは先行研究の要約と整理が中心となっているが,先行研究で行われた史料解釈に若干の微修正も加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までの遅れが挽回できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度が本研究プロジェクトの最終年限であったが,年限を延長し,引き続き研究成果の発信に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までの研究の遅延に伴い研究計画全体が遅れたため。
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