研究課題/領域番号 |
18K12678
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
行岡 睦彦 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20734693)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社債 / 事業再生 |
研究実績の概要 |
まず、昨年度の私法学会における報告の概要をとりまとめた論稿である「事業再生における社債権者の意思決定の法的規律」私法81号164-171頁を公表した。同論稿は、アメリカとドイツの社債法制を対象とする比較法分析を行い、財務リストラクチャリングにおける社債権者の意思決定につき、個別同意ルールと資本多数決ルールのそれぞれにどのような利点・欠点があるかを機能的に考察したものである。従来、学術的な論文があまり多くない問題について、具体的な制度設計のあり方を、国際比較を通じて探求した研究成果であり、これを一般の読者にも読みやすい分量・内容の論稿として公表したことには、学術的・社会的に大きな意義があると考えている。
次に、証券発行開示規制に関する基礎的な研究である「発行開示規制の基礎的研究」資本市場研究会編『企業法制の将来展望―資本市場法制の改革への提言―2020年度版』(財経詳報社)89-117頁を公表した。本研究課題では、社債のリストラクチャリングを行う際に、ひとつの手法として国際的にしばしば利用される「交換募集」における証券規制について考察を深めることを予定しているところ、同論文は、かかる研究に向けた基礎的作業の一環として、証券発行開示規制の基礎にある考え方を整理し、論じたものである。本研究課題との関係では基礎的考察に止まるものであるが、今後の研究に向けた足がかりをなすものとして意義があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き本研究課題に関する調査と考察を進め、今年度は関連する論文を2本公表することができた。したがって、現時点では、おおむね順調に進展していると考えている。もっとも、今年度後半から長期の在外研究に出ていること、および、今年度終盤以降、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う移動制限によって計画していた出張が不可能になったことにより、研究にやや影響が出はじめている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで同様、本研究課題の研究を進める予定である。もっとも、今年度後半より長期の在外研究に出ていること、および新型コロナウィルスによる移動制限により、研究にやや影響が出はじめている。今後、必要に応じて研究期間を延長するなどの対応をとることを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度後半より長期の在外研究に出ていること、および今年度終盤に新型コロナウィルスによる移動制限を受けたことにより、書籍の購入や出張計画に影響が生じたため、支出額が当初の予定を下回る結果となった。今後順次使用していく予定であるが、必要に応じて研究期間を延長するなどの対応をとることを検討している。
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