研究課題/領域番号 |
18K12678
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
行岡 睦彦 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20734693)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社債 / 事業再生 |
研究実績の概要 |
本研究課題のテーマと密接に関連する令和元年会社法改正(社債の管理に関する部分)について、昨年度に引き続き理論的な検討を進め、その成果の一部として、拙稿「令和元年会社法改正の意義(7)社債の管理に関する会社法改正の意義と課題」商事法務2235号13頁(2020年)を執筆・公表した。同論文では、本研究課題の比較法研究により得た知見を踏まえつつ、令和元年会社法改正に至るまでのわが国における議論状況を整理し、同改正の理論的・実務的な位置づけを明らかにするとともに、今後に残された課題をいくつか指摘することを試みた。具体的には、同改正の位置づけとして、①令和元年会社法改正で新設された社債管理補助者制度が、社債のコベナンツの管理において一定の役割を果たし得ると考えられること、②元利金の減免を社債権者集会の決議事項として明文化する改正が、社債のリストラクチャリングにおける意思決定の問題に対処するものとして一定の意義をもつこと、③それでもなお、残された実務的・立法論的な課題があることなどを指摘した。これらの研究成果は、本研究課題のもとで進めてきた比較法研究(とりわけ対象諸外国における社債の実務に関する研究)を基礎として書かれたものである。今般の改正で導入された上記各制度は、新たな制度であるがゆえにわが国でいまだ実務が確立していない領域であるところ、今般の研究は、諸外国の状況を踏まえながら可能な限り実践的な観点を取り入れつつ理論的検討を加えたものとして、一定の意義があるのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、今年度も、コロナ禍および在外研究のため、必ずしも当初想定していた形で研究を進めることはできなかった。しかし、それでもなお、令和元年会社法改正について、かねて本研究課題として進めてきた比較法研究を踏まえながら理論的な検討を行い、それを論文として公表することができたことから、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の主題である社債のリストラクチャリングは、より一般的な社債の管理や証券市場のあり方と密接に関連することから、今後も引き続き、これらを視野に入れた研究を進めていくことを予定している。もっとも、昨年度の「現在までの進捗状況」欄にも記載したとおり、本研究課題の遂行には今少し時間を要すると思われることから、本研究課題の延長を申請することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
長期在外研究の機会を得たこと、およびコロナ禍により旅費が発生しなかったことから、本研究課題の予算の執行が遅れている。今年度も引き続き研究を進め、それに応じて予算を執行する予定であるが、研究の進捗状況に照らして、研究期間の延長を申請することを予定している。
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