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2018 年度 実施状況報告書

仲裁判断の既判力理論の比較法的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K12685
研究機関首都大学東京

研究代表者

宮下 摩維子  首都大学東京, 法学政治学研究科, 助教 (20816897)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードイングランド / 仲裁 / 国家裁判所への上訴
研究実績の概要

本研究は、①イングランド・ウェールズにおける1996年仲裁法69条の定める「法律問題に関する上訴制度」が、仲裁判断の既判力にどのような影響を与えているかを明らかにし、英国の議論を踏まえたうえで、②日本の仲裁法において仲裁判断の既判力をどう理解すべきか、理論的に解明することを目的とする。グローバル社会において、日本も渉外紛争を抱える紛争当事者が増加することが予想される。そのなかで、より安価で、よりフレキシブルな紛争解決を期待できるADRが担う役割は大きくなっていくであろうし、仲裁制度はこうした裁判外の紛争解決手続きの第一の選択肢であることは明らかである。両法域における仲裁判断の既判力の相違点を詳らかにすることで、日本の仲裁法の既判力の性質を解明すし、以て当制度の安定性、信頼性を増強し、その活用の促進に寄与することを目指す。
以上の目的を達成するため、今年度は以下の研究を行った。①現行の1996年仲裁法96条の定める「法律問題に関する上訴制度」が仲裁判断の既判力に与える影響についての考察を行った。Cottoner Anstalt v. Patriot Spinnig Mills事件(2013年)を検討したが、論文発表には至っていない。②2019年3月26日にロンドンで開催された17th Annual Review of the Arbitration Actなど、国内外の学会に参加し、最新の議論に触れた。イングランドにおいて、法律問題を理由とする国家の裁判所への上訴は、制度として存在し、仲裁制度の重要な特色をなしている一方で、その運用にあたっては、裁判所は非常に抑制的な態度を示している。しかし、それでも、2018年には10件以上の事件が、法律問題を理由に上訴を行い、そのうちの多くが認められている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成30年度は、Cottoner Anstalt v. Patriot Spinnig Mills事件(2013年)について論文発表を行うことを予定していたが、本判決に関する検討はいまだ不十分であるため、発表を見送った。この点において、研究はやや遅れていると言わざるを得ない。しかし、平成31年度は、続けて、本判決の検討を鋭意行う予定であるし、論文の発表も可能であると考えている。

今後の研究の推進方策

平成31年度は、前年度の研究を継続発展させるとともに、16世紀から始まる英国仲裁の歴史的な背景を俯瞰する研究を行う。英国では国家裁判所と仲裁裁判所は対立と歩み寄りの歴史を歩んでおり、このことが英国仲裁に与える影響は大きいと思われる。
さらに、研究最終年度である平成32年度には、仲裁判断の既判力理論に関し、理論的研究を行うことを予定している。仲裁判断に付される既判力は、判決手続を経た判決に付されるそれに比べて弱いものであるとの立場に立つが、いまだ理論上明らかにできていない。平成31年度までに行う研究を踏まえて、比較法的見地から、この問題を解明することを予定している。

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公開日: 2019-12-27  

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