研究課題/領域番号 |
18K12687
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
山口 敬介 立教大学, 法学部, 准教授 (50507803)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 民法 / 保証 / 韓国法 |
研究実績の概要 |
今期の研究成果は、おおむね次の2点にまとめられる。 第1に、韓国における近時の保証法改正作業について検討を行い、その成果を公刊したことである。韓国と日本の保証法は、第1に、近時改正が実現したこと、第2に、改正以前の規定が類似していたこと、第3に、個人保証人の保護が社会問題とされてきたことなどの点で共通している。しかし、近時の改正の方向には違いが見られる。日本法の今後の展開を考えるにあたって、近い出発点に立ちながらも異なる方向に進んだ韓国法の展開のあり方、その原因を認識することは、意義を有する。このような考えに基づき、契約締結後の通知義務、契約締結時の情報提供義務、保証契約の類型化、個人保証の情誼性への対応、実務上の運用に注目して、韓国法の現況・展開を分析した上で、日韓の異同の中身とその原因について考察を加えた。以上の研究を公刊できたのが、今期の最も大きな研究成果である。もっとも、この研究は、序論的なものにとどまっており、そこからは更なる検討課題が見出された。それらの検討は次期以降の課題となる。 第2に、今期の後半から、ドイツに滞在し、ドイツ保証法の検討作業を進めることができた。日韓両国は、保証法の分野でも、ドイツ法の展開に多くの関心をこれまで寄せてきた。もっとも、関心を寄せてきた分野については、若干の違いがある。そこで、ドイツ保証法の展開について全般的な検討を加え、日韓の展開と比較する作業を行うことを、当初の研究計画で予定していた。この作業に着手することができたことも成果の一つである。もっとも、今期中に研究成果の公刊に至ることはできなかった。この点もまた、次期以降の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
保証法について韓国法の近時の展開を把握し、整理することが、本研究の第1の課題であったところ、それについて初年度である今期に成果を公刊できた点で、研究は順調に進展しているといえる。また、ドイツ法の研究にも着手することができたのも、当初の計画に沿っている。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、ドイツ保証法についてさらに検討を深め、研究成果公刊に向けて道筋を立てたい。 第2に、韓国保証法について、今期の研究成果から見出された更なる検討課題について、引き続き検討したい。 第3に、日本の保証法改正についての研究も引き続き増えているので、それらについても検討を続けたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の研究費等の利用により、当初の計画よりも支出分が少なくなった。 次年度以降の海外出張費や書籍費等に充当する計画である。
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