• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

日独比較法制度研究―ドイツ完全養子制度の運用から得られる日本法への示唆―

研究課題

研究課題/領域番号 18K12689
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

喜友名 菜織  兵庫県立大学, 環境人間学部, 講師 (30780035)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード普通養子 / 節税養子 / 孫養子 / 連れ子養子 / 縁組意思 / 子の福祉 / 望まない妊娠 / 交流支援
研究実績の概要

2022年度は、日独の未成年養子制度、社会的養護、人工妊娠中絶および内密出産制度に関する文献収集や裁判例の整理を行うことに注力した。それとともに、わが国の普通養子制度においては、成年者・未成年者にかかわりなく、財産的利益の享受を動機とした養子縁組の利用が許容されている慣行・実態があることから、縁組意思ないし養親子になる意思の具体的内容という観点からの検討を行った。未成年養子制度の本旨に照らすと、子の養育という目的に主眼が置かれるべきであり、現行の普通養子制度の規定ないし運用は見直される必要がある。以上のことから、孫養子や連れ子養子に関するこれまでの改正議論の状況や利用実態調査の整理・分析に着手した。
本研究は、ドイツ完全養子制度の理論・実務の特色から、日本法の課題について明らかにすることを目的としている。研究の全体的な成果として、次のような視座が得られた。第一に、ドイツでは、実親の縁組同意権が憲法上保障されていることから、実親の意向が縁組の成否を判断する基準となっており、実親の意向を確認し同意を取得するまでの手続が整序されていること、実親の意に反してでも子を保護する制度としては最終的な選択肢として位置付けられているということである。第二に、望まない妊娠をした場合であっても、実母は養子縁組という決断に対して高い葛藤を抱えており、それと同時に、血縁上の父の手続保障に関する課題が残されている。第三に、2021年施行の養子縁組支援法により、養子縁組前後におよぶ支援が一層強化された。以上のことから、「子のための養子法」の実現にあたっては、縁組前の相談・付添い支援を運用の基盤とすること、養子縁組に関わる当事者間の葛藤・対立の緩和も重要であり、縁組成立後の実親子の交流支援がその一助となり得ること、何よりも出自を知る子の権利の保障に関する議論が不可欠であるという結論が得られた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 節税目的の養子縁組の成否(最三小判平成29・1・31)2023

    • 著者名/発表者名
      喜友名菜織
    • 雑誌名

      別冊ジュリスト

      巻: 264号 ページ: 80-81

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi