役員報酬に関する裁判例法理には相当程度の集積がみられるものの、(法律分野全体にいえることだが)そのうち実際に紙媒体の雑誌に掲載される事例には限りがあり、それらを対象とした検討にも内容的な偏りが生じる可能性がある。研究代表者の手法のようにデータベースに検討対象を拡大することにも同様の問題はあるが、セレクション・バイアスの軽減につながることは事実である。未公刊・データベース未収録裁判例へのアクセスには限界があるため、網羅的な裁判例分析の手法としてデータベースを活用することは、どの法律分野においても今後必須といえる。
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