研究課題
若手研究
本研究は、著作権を制限する必要のある事態に迅速かつ柔軟に対応する制度設計を提案する。具体的には、オーストラリアが著作権の制限に関する条約をいち早く批准できた要因に着想を得たものである。すなわち、緩やかな要件のみを備える権利制限規定を設け、それによりまずは著作権を制限して事態に対応し、事後的に具体的な権利制限規定の立法を促す「動態的な著作権の制限」の発想を示す。
新領域法学
本研究が提唱する著作権の権利制限が求められる事象に迅速かつ柔軟に対応可能な制度設計により、AIやメタバースといった、近時急速に発展した技術を用いる際に生じる著作物の利用について、とりあえず利用を自由としておき、著作物の創作の動機づけを過度に阻害しないよう、事後的に立法により権利制限の範囲を具体的に調整するという手法が可能となる。この点に、本研究の成果の社会的意義がある。