科学的不確実性を前提とした環境リスクの法的制御においては、予防原則と比例原則が衝突し得る。また、そうしたリスクを伴う活動や物質の使用に関しては手続的決定がとり入れられているが、その比例原則適合性は問題視されるものである。 これらの問題に対し、本研究は、主に以下の2点において成果を得たと考えられる。(1)行政庁によるリスクの取扱い決定に対して裁判所がいかに審査し得るか、そこにおいて比例原則がいかに適用され得るかを一定程度明らかにした。(2)リスクを扱う個別法が新たなリスク概念を採る場合、かかるリスク概念が比例原則といかなる関係を有するかを、ドイツの遺伝子技術法を題材として一定程度明らかにした。
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