研究課題/領域番号 |
18K12697
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
関 智弘 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (60796192)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 政策実施 / 生活保護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、生活保護政策を対象として、政策設計者がいかなる意図を持って政策の実施主体を選択しているのか、そして実施主体の違いによって政策帰結がどのように異なるのかを明らかにすることである。厚生省(厚生労働省)の政策形成過程と自治体の政策実施過程をそれぞれ分析したうえで、両者の接合を図ることを目指している。本年度は、後者の研究に必要な生活保護業務のデータを入手するために複数の自治体と交渉した。前年度に交渉していた自治体は最終的にデータ提供を断られたので、別の自治体との交渉が必要になった。自治体との交渉は想定していた以上に難航し、ひとつの自治体にはすでに断られた。もうひとつの自治体とは複数回の面談を重ねて粘り強く交渉を続けている。 本年度の主な成果は、保育政策の実施過程について共著と辞書を刊行したことである。共著の執筆部分では、保育・幼児教育アドバイザーと幼児教育担当の指導主事が、保育現場への支援と保幼小の連携に取り組んでいることを実証的に明らかにした。また、保育学用語辞典では、「制度・政策」セクションの編集委員を務め、複数の用語解説を執筆した。保育政策は研究対象の生活保護政策とは異なるが、政策実施過程の共通点と相違点を検討するうえで、理論的な示唆が大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、自治体との交渉の難航によって、研究計画の遂行にやや遅れが出た。当初の計画では、前年度から交渉していた自治体からデータ提供を受ける予定であったが、最終的に協力を得られず、他の自治体と再度交渉することになった。自治体にとって、生活保護業務データを提供することのメリットが小さいので、なかなか理解を得られなかった。当初の予定より時間がかかっているが、そのほかの計画に遅れはなく、資料の収集と先行研究の整理を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、自治体との交渉をまとめ、生活保護業務データの分析に取り組む。ひとつの自治体では本年度から複数回の面談を重ねており、一定の協力を得られる可能性がある。自治体がコロナ対応で余裕がない中でデータ提供を受けるのは容易でないが、多少の時間がかかったとしても粘り強く交渉するつもりである。なお、業務データを得られなかった場合に備えて、自治体レベルのデータを用意している。また、政策実施主体を選択するプロセスについては、資料収集を中心に進める予定である。令和2年度は、補助事業期間の最終年度に当たるため、これまでの研究成果を論文として刊行することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は自治体との交渉など研究の準備作業に時間がかかったので、現地調査の費用などを繰り越しすることになった。次年度は、コロナが落ち着いた時期に現地調査を実施する予定である。
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