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2023 年度 実施状況報告書

自治体政策の実施過程における「家族単位モデル」バイアスの検証

研究課題

研究課題/領域番号 18K12700
研究機関名古屋大学

研究代表者

荒見 玲子  名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20610330)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2025-03-31
キーワード世帯主義 / 制度の狭間 / 行政サービス / 住民制度 / ジェンダー / 福祉申し立て / 第一線職員 / 受給資格
研究実績の概要

申請者は2022年度後半から2023年8月末までライフイベントに伴い休業し、2023年9月からの半年の研究実績となる。コロナ禍を挟み、量的調査が本科研の研究期間中には難しくなったため、フィールド調査・インタビュー調査を再開した。第一に、東京都世田谷区の孤独・孤立対策にかかわる地域包括ケアシステムとひきこもり支援に係る調査を行い、年度末に論文を出版した。調査・論文の執筆の過程で、ひきこもりへのアプローチや高齢者の見守りの施策を実施していく際に、リソースの配置の際に「世帯」の状況をどのように考慮するのか、施策体系および専門職の着眼点によってコロナることが明らかになった。第二に、南医療生協、東京保健生協、出雲医療生協への調査を通じて、地域福祉における行政と民間組織の協働の際に「世帯」の状況がどのように制度と連関し、双方のかかわり方に関わってくるのか明らかになった。第三に、災害ケースマネジメントにおける個人情報保護のあり方について、愛知県被災者支援センターの事例を調査・報告書にまとめる際に、災害ケースマネジメントという世帯のアプローチが重要な場面で、住民制度や個人情報など、個人と自治体のかかわりを規定する制度がどのように機能するかを明らかにすることができた。以上3つの調査を通じて、社会政策と住民制度が交錯するなかで「世帯」を行政研究のなかでどのように位置づけられるのか、バリエーションのある事例を確保することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請者は2022年度後半から2023年8月末までライフイベントに伴い休業し、本科研も休業期間を挟んでいる。2023年9月からの復職後は、コロナ禍の最中には十分にできなかったフィールド調査も再開できた上、コロナ禍の最中にはアプローチが難しかった、地域包括ケアシステム、地域共生社会システムの調査を行うことができた。また、ライフイベントに伴う休業で、様々な母子保健施策、保育施策の受給当事者として、単に施策だけではない、労働制度、社会保障制度の制度補完性なども合わせて実感することができ、もちろん研究(仕事)にさける時間は減っているものの、本科研テーマにかかわる制度や政策に関わる理解とが非常に深まり理論的な視点への着想も得たため、総合的にみると順調に進展しているといえるだろう。

今後の研究の推進方策

2024年度後半はイギリスに滞在予定であり、かつ、2024年度は家族政策の国際比較に関わる論文を執筆予定なので、当初の研究計画にあったように、理論モデルの構築の際に、各国の「世帯」「家族」の社会政策の実施における国際比較の視点も取り込みながら、研究成果をまとめていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

産休・育休を取得し、研究を中断したため補助事業を1年延長したため次年度使用額が生じた。2024年度後半はサバティカルを取得し、イギリスに滞在予定で、社会政策における「世帯」の扱いについて国際比較の視点から調査研究を行うために残金を使用予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 包摂型社会政策において「制度の狭間」を乗り越える条件2024

    • 著者名/発表者名
      荒見玲子
    • 雑誌名

      都市社会研究2024

      巻: 2024 ページ: 31-66

  • [雑誌論文] 地方自治と地名問題2023

    • 著者名/発表者名
      荒見玲子
    • 雑誌名

      月刊地理

      巻: 68 ページ: 30-39

  • [雑誌論文] 調査報告 地方公務員のキャリア形成・能力開発と働き方に関する調査 2021 年新規採用者調査 (愛知県・茨城県・東京都・福井県)」の基礎分析および基礎集計(1)2023

    • 著者名/発表者名
      荒見玲子, 出雲明子, 大谷基道, 竹内直人, 松井望
    • 雑誌名

      名古屋大学法政論集

      巻: 299 ページ: 125-163

    • DOI

      10.57461/nujlp.299.6

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 調査報告 地方公務員のキャリア形成・能力開発と働き方に関する調査 2021 年新規採用者調査 (愛知県・茨城県・東京都・福井県)」の基礎分析および基礎集計(2)2023

    • 著者名/発表者名
      荒見玲子, 出雲明子, 大谷基道, 竹内直人, 松井望
    • 雑誌名

      名古屋大学法政論集

      巻: 300 ページ: 277-324

    • DOI

      10.57461/nujlp.300.6

  • [雑誌論文] Detecting Voter Understanding of Ideological Labels Using a Conjoint Experiment2023

    • 著者名/発表者名
      Hirofumi Miwa, Reiko Arami, Masaki Taniguchi
    • 雑誌名

      Political Behavior

      巻: 45(2) ページ: 635-657

    • DOI

      10.1007/s11109-021-09719-5

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Organizational Influences on Women's Managerial Advancement in Local Government2024

    • 著者名/発表者名
      Reiko ARAMI
    • 学会等名
      120th American Political Science Association Annual Meeting
    • 国際学会
  • [図書] 第4章 災害ケースマネジメントにおける情報共有と個人情報保護 『愛知版「災害ケースマネジメントの手引き」: 来たるべき巨大災害に向けて~災害時の支援とは何か。連携とは何か』2024

    • 著者名/発表者名
      荒見玲子
    • 総ページ数
      90
    • 出版者
      認定NPO法人,レスキューストックヤード
  • [備考] Researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/reiko_arami

  • [備考] 研究者総覧

    • URL

      https://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/html/100007749_ja.html

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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