研究課題/領域番号 |
18K12701
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
松本 朋子 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 講師 (50783601)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | テキスト分析 / 政策立ち位置 / 再選 / 議員の発言 |
研究実績の概要 |
本年度行った研究は以下三点である。 まず、選挙を意識した議員の発言・発信について分析するため、議会議事録での各議員の発言を収集し、テキスト分析を共同研究者と行った。その結果、選挙時と選挙のない年とで、議員の発言が大きく変化しており、前回の選挙で接戦を制した議員ほどその変化が顕著な傾向にあることが判明した。本研究については、2019年1月のAsian Political Methodologyの年次大会、3月の京都大学でのトーク(招待)、4月のMidwest Political Science Associationの年次大会の他、2018年から2019年にかけて、共著者も各大学で発表している。本年度中に海外ジャーナル誌に論文を投稿する予定である。また、議員の発信テキストに関するテキスト分析の手法と、テキストデータに組み合わせるべきデータの特定も行うことができた。 次に、選挙公報のデータとマージする予定の政党の政策立ち位置に関する専門家調査の統計的分析を共同研究で行った。同データの分析結果については、2019年4月のMidwest Political Science Associationの年次大会にて、分析結果を報告してあり、2019年度9月のAmerican Political Science Associationの年次大会においても報告することが決定している。本年度末までに海外ジャーナル誌に投稿する論文を仕上げる予定である。 選挙公報については、直近の衆議院選挙について選挙公報の他、選挙結果データ、上記に挙げた専門家調査のデータ他、組み合わせるべきデータの収集を行った。選挙公報のデータ化について見積もりはとったものの、予算が足りず、2018年度は組み合わせるデータの収集に力を注いだ。2019年度は昨年度の予算と合算しデータ化しテキスト分析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
選挙公報自体のデータ化は予算の関係で2019年に持ち込んだことは想定外であった。この理由としては、当初予定していたデータ情報よりも、より複雑な情報を得られることがわかり、そのデータ化の経費が想定していた以上にかかったことが原因に挙げられる。しかし、次年度予算と合算すれば少なくとも衆議院選挙1回分の選挙公報がデータ化できることが見積もりでわかっており、また、それにマージするデータの収集も終えている。 それ以上に、本年度の進捗が想像以上に進んでいると判断した理由は、議員の選挙における発言と政策の立ち位置を分析するに当たって関連するデータの収集をする中で、想定していなかった学問的知見を見つけ、上記に挙げた二つの論文を共同研究で書くことができたことにある。同共同研究の内、一本についてはほぼ完成させ、論文の投稿段階に到達することができた。また、もう一本についても最初のワーキングペーパーを作り上げることができた。 以上から、選挙における議員の発言のバリエーションを分析する本プロジェクト全体の進行としては、順調に研究成果を得ることができた
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今後の研究の推進方策 |
(1) 本年度は、初年度に行った二つの共同研究を完成させ、論文を二本海外ジャーナル誌へ投稿を終える。 (2) 選挙公報のデータ化と分析に取り掛かる。見積もりを行なった業者に、秋までに選挙公報のデータ化したものを納品してもらい、そのデータを年度内に分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
選挙公報のデータ化を業者に発注するにあたり、データ化のプログラム設計上の初期費用がかかり、発注を分けるとその度に初期費用が積算する形となることが判明した。(テキストデータだけでなく、別途費用をかけることで、そのテキストの画像上の位置情報も入手できることが業者との交渉で判明し、画像情報の分析もできることが判明した。)そのため、次年度の予算を合算して発注する方がより多くの資料をデータ化できることから、次年度使用額として持ち越すこととした。
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