本研究では、インドネシアを事例として、新興民主主義国家における排他的な勢力台頭の要因とその影響力拡大の戦略について明らかにした。特に、そのイデオロギーや思想の系譜を精査していくと、過去のスハルトの権威主義体制下における差別や抑圧の経験が、特定の少数派に対する排他的な言説を形成してきたことが明らかになった。こうした歴史的軌跡を踏まえ、民主化以降の少数派排斥運動の広がりを分析し、2014年および2019年大統領・総選挙において上記の勢力がいかなる政治的影響をもたらしたのか明らかにした。これらの研究成果は6本の査読付き論文(英語3本、日本語3本)に発表し、単著1冊にまとめている。
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