2020年度は自治体の調査を行うとともに、住民意識調査の枠組みを検討した。自治体調査について当初は郵送調査を予定していたが、コロナ禍の影響を鑑みて、自治体ウェブサイトから自治体の取り組みを確認した。網羅的な調査とはならなかったものの、住民意識調査のための予備調査としては必要最低限の調査が実施できた。 次に、本研究で理論的に依拠する公正研究のさらなるレビューを行い、どのような要素を住民意識調査に組み入れるかを検討した。また、調査の際にはランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial)という実験的手法を交えた設計を行う。実験では、無作為にふりわけられたグループごとに、公共施設に関する異なるシナリオや情報を与えて、それらの違いによりどのような意識の違いが住民にもたらされるかを明らかにする。無作為に振り分けられたグループの同質性は同時に収集する被験者の属性や意識を相互に比較することにより確認する。これにより公共施設等統廃合に関する取り組みという原因が、住民の公共施設等統廃合に関する意識という結果に与える因果効果をより適切に検証することができる。本年度は、この実験の手法についても検討を行い、次年度の調査に備えた。検討に際しては、国内外の実験的手法に関する文献をレビューするとともに、国内の実験的手法に精通する政治学研究者に実際の研究の手続きについてのヒアリングを行った。
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