(1) 2019年日本選挙学会研究会で報告し,2021年にデータの再整備をしていた,日本の最高裁判所裁判官の理想点を推定する研究について,論文にまとめて国際誌に投稿した。その過程で,非自民党内閣が弁護士枠の裁判官にリベラルな人物を任命する傾向にあった可能性など,2019年の学会報告時には気付かなかった発見もあった。(2) 2021年日本政治学会研究大会で報告した,有権者が若い政治家を好むという一般的傾向の理由が,有権者が若い政治家をポピュリスト的であると推測する傾向に求められることを示した研究の論文を完成させ,国際誌に投稿したところ,軽微な修正で掲載可の判定を受け,修正稿を再投稿した。(3) 2022年度に実施したソフトニュース視聴とイデオロギー投票の関係を検証するサーベイ実験の結果を,過去の観察研究の結果とあわせて論文にまとめたものの,付録の整備が間に合わず研究期間内の投稿には至らなかった。(4) 民主主義の後退に関して日本における党派的に動機づけられた推論の存在を示した実験結果を,共著者がMidwest Political Science Association年次大会と日本政治学会研究大会で報告した。論文はほとんど投稿できる状態まで仕上がった。(5) 2020年度以降時間をとれていなかった,言論人の論壇誌への寄稿回数から言論人と論壇誌の理想点を推定する研究について,生成AIの出力と比較することによる推定結果の妥当性の確認作業を進めた。(6) 昨年度に行っていた,日本における争点態度のイデオロギー的一貫性の起源に関するサーベイ実験の結果を分析した。2024年度日本選挙学会研究会にポスター報告を応募して採択された。(7) イデオロギーに関する一般書の執筆を2章分進めた。
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