本研究課題の主な目的は,現代日本におけるイデオロギーの役割を明らかにする空間理論の適用範囲を広げるために,新聞と裁判官のイデオロギー位置(理想点)を定量的に測定することであった。新聞については,全国紙とブロック紙計10紙の1年分の社説を網羅的に収集し,量的テキスト分析の手法を適用してこの10紙の理想点を推定することに成功した。裁判官については,1948年から2023年までの全員一致でない最高裁判例のデータを整備し,189人の最高裁裁判官の理想点を彼らの判決行動から推定した。それにより,日本の裁判所が自民党長期政権の影響で保守的傾向をもっていると主張する先行研究の主張に沿う分析結果を得た。
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