研究課題/領域番号 |
18K12710
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
梅川 葉菜 駒澤大学, 法学部, 講師 (60780517)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アメリカ政治 / 連邦制 / 三権分立制 / 大統領制 / 州司法長官 / 州政治 |
研究実績の概要 |
近年、大統領による実質的な既存法の書き換えを伴う政策変更に対して、連邦議会でも裁判所でもなく、州政府が、それを抑制する主体として重要な地位を占めるようになった。本研究では一次資料の歴史分析により、近年、大統領の三権分立制を脅かすような行為を阻止する主体として州政府が台頭してきていることを指摘し、またその台頭の要因の解明を目的としている。
本研究課題の2年目となる本年度は、当初の予定通り、州政府らが協力して、三権分立制を脅かすようなオバマ政権の行動を提訴して勝訴した事例の一つを扱った。すなわち、同政権による立法に基づかない大幅な二酸化炭素の排出規制に対して27の州政府らが訴え、訴えが認められた事例について、一次資料を収集、分析した。政権側の資料は、同政権が公表した文書、報告書、演説等を分析の中心とした。州政府側の資料は、訴訟の牽引役となったウェストバージニア州司法長官とその関係者を主な対象とした。当初は同州の州立図書館にて同州内の主要メディアの資料を収集する予定であったが、翌年度に単年度の在外研究の機会を得たため、その期間に時間的、経済的に効率よく資料収集できる見込みがたったので、予定を変更し、日本国内から収集できうる限りの資料を収集し、分析を進めた。それから、関連する二次文献も渉猟した。特筆すべきは、本研究課題が当初想定していた以上に広がりがあったため、新たに19世紀末からの連邦制の変容そのものについての二次文献も収集し、整理を進めている点である。
以上の結果、州政府の訴訟戦略の台頭が、近年の分権化の進展という連邦制の変化の文脈に位置づけられる可能性が浮上した。連邦制についての合衆国憲法の規定やその解釈が大きく変わらない中で連邦制のあり方が変容するのは、方向性は正反対ではあるものの、19世紀末から1930年代にかけて州政府から連邦政府へと権限が集中していった状況と酷似している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ウェストヴァージニア州の州立図書館は利用せず、日本国内から収集できうる限りの資料を収集し、分析を進めた。その理由は、翌年度に単年度の在外研究の機会を得たことにより、その期間に時間的、経済的に効率よく資料収集できる見込みがたったためである。本年度に既に日本国内で収集した資料を分析することで、次年度に予定を変更したウェストヴァージニア州での資料収集の際の目安や方針も定めることができた。また、本研究課題の射程を広げるための二次文献の収集と整理にも労力を割くことができた。これらのことから、当初の予定とは異なるものの、想定以上の収穫もあり、研究も着実に進展しているため、上記の区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は単年度の在外研究の機会を得たので、当初の予定を変更し、資料収集や研究報告を中心に研究を進めていく。次年度の当初の予定であったテキサス州での資料収集に加え、本年度に予定していたウェストヴァージニア州での資料収集も行う。さらに、初年度の分析から、レーガン政権期における連邦規制政策の権限委譲が、本研究課題にとってどれほど大きな意味を持っているのかについての精査も必要と考えられるので、カリフォルニア州にあるロナルド・レーガン大統領図書館での資料収集も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも資料収集の回数が少なくなったため、次年度使用額が生じた。次年度予算に組み込み、適切に利用する。
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