本研究の主な目的は、国家がどのような根拠と基準により、外国人労働者の受入れを決めるのかという外国人労働力導入政策における国家の労働市場への介入の決定要因を明らかにすることであった。最適な事例として取り上げたのは、高度人材の最多受入国のアメリカのクリントン政権期にて、当時の新興産業としてのIT産業の高度人材の受入れ拡大法案をめぐる政権内部のアクター間の調整プロセスである。報告者が開示請求した資料を米国現地にて閲覧収集し、これらの資料を併せて分析した結果、省間の綿密な見解の統合と交渉が、受入根拠と基準を生み出し、労働市場に介入していく重大な要因であった。
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