最終年度は本研究課題について、アメリカ・UC Berkeleyにおいて客員研究員として研究を継続して遂行した。アメリカにおける環境リスク規制政策が州政府のデータを活用した政策形成により、リスクが可視化され環境正義の課題に移行しつつあることを確認し、そのデータについても大学データベース等を活用して資料収集・分析を進めた。 とりわけ、前年度から継続的に取り組んだテーマである太陽光パネルのリサイクル規制について先行して規制の設定が行われたカリフォルニア州やワシントン州といったアメリカ州政府の対応について比較分析の視点から政策過程分析を進め、"Photovoltaic Module Recycling Policy-making Process and the Role of the Government" としてアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されたInternational Political Science Association(IPSA) 2023で報告を行った。参加者から様々な有益なコメントを受けることができた。その後大幅に修正を図っており、査読付き海外雑誌への投稿準備を進めた。 また、本研究課題として取り組んできたアメリカ連邦政府の食品安全規制について、平時と危機時の規制改革を比較した論文「アメリカにおける食品安全政策とリスク管理:危機時と平時の観点から 」は、日本比較政治学会年報第25号に掲載された。 新型コロナウイルス感染症の影響によって研究実施に遅れがあったため、最終年度の延長を行ったが、この7月の海外報告をもって予算の執行を終了した。延長したことで渡米計画の延期に対して対応できたこと、研究計画を柔軟に修正することができたため、有益であったと言える。
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