研究課題/領域番号 |
18K12721
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川名 晋史 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (10611072)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 米軍基地 / 日米関係 / 経路依存 / 基地の政治学 |
研究実績の概要 |
2020年度は、本科研費の成果として、単著『基地の消長―日本本土の米軍基地「撤退」政策』(勁草書房、2020年6月)を発表した。また、本成果に関連するものとして、編著『基地問題の国際比較―「沖縄 」の相対化』(明石書店、2021年1月)も発表した。 それらをつうじて本研究の主要な問いである「1960年代後半以降の在日米軍基地の再編とその後の過程において、戦略的重要性が高いと判断されていた基地が閉鎖される一方で、そのように判断されなかった基地が存続し、かつ長期の持続性を有するようになったのはなぜか」への応答を提示した。 すなわち、一定の条件を備えた基地は、仮に当初は明確な目標をもたず、ごく小さな規模で誕生したとしても時間の経過とともに成長し、システム内の他の基地と相互作用を繰り返しながら初期の目的を上書きしつつ、次第に環境に適した機能を備えていく。また別の条件を有した基地は、戦略環境と周囲の政治環境の構成に大きく左右されながら時間の経過とともに以後の発展経路をロックインさせていく。当該の過程において「時間の蓄積」は、基地の持続性の結果であり、またその原因をも間接的に構成するのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
期間最終年度に刊行予定だった単著『基地の消長―日本本土の米軍基地「撤退」政策』(勁草書房、2020年6月)及び、編著『基地問題の国際比較―「沖縄」の相対化』(明石書店、2021年1月)を前倒しで発表することができたことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、これまでの成果を一つにまとめた単著を執筆し、2022年度初頭に刊行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において米国での資料調査(海外出張)ができなかったことが主たる理由である。次年度使用額については、海外渡航制限が解除され次第、米国にて資料収集を実施する予定であり、そこで使用することを計画している。また、それがかなわない場合はデータベースの購入等により代替する予定である。
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