研究課題/領域番号 |
18K12721
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川名 晋史 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (10611072)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 米軍基地 / 日米関係 / 経路依存 / 基地の政治学 / 沖縄 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、米国の海外基地の持続メカニズムを経路依存性の観点から実証的に解明することにある。2021年度は、戦後の北海道における米軍基地の撤退とその後の再使用(矢臼別演習場)の経緯について調査を実施した。具体的には、矢臼別演習場へのフィールド調査及び資料収集を行った。 その結果、2000年代以降、沖縄と北海道の米軍基地が運用上のリンケージを密にしていることが明らかになった。この問題は従来学術的には検討されてこなかったものであり、本研究課題である基地の粘着性とそのメカニズムを明らかにするうえで重要である。そのため、2021年度は沖縄海兵隊の北海道矢臼別演習場への移転計画等についての調査も実施した。 また、2020年度の成果である単著『基地の消長―日本本土の米軍基地「撤退」政策』(勁草書房2020年)を発展・継承するかたちで、沖縄における基地の固定化のメカニズムの解明に取り組むとともに、その成果を書籍にまとめる作業を実施した。その過程では関連する複数の史料を発見し、そのことが本研究課題の進捗をもたらした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に本研究の成果である単著『基地の消長―日本本土の米軍基地「撤退」政策』(勁草書房2020年)を刊行し、それに関するアウトリーチ活動(メディア取材、市民講座等)も実施してきた。 また同書での到達点を踏まえ、本研究課題をさらに推進する新たな問いとテーマを展開させるとともに、それらをまとめた書籍の刊行準備に入っている。 その一方で、コロナウイルス感染症の影響により海外出張が制限されているため米国立公文書館での史料調査が進んでいない。このことが本研究課題の進捗を当初の予定よりも遅延させている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は米国立公文書館にて史料調査を行い、研究の遅れを取り戻す予定である。 調査対象となる文書群はすでに特定できているため、できるだけ早いタイミングで海外出張を行うこととする。 また、引き続き北海道の米軍基地に関する資料調査および現地での聞き取り調査等を行う。 さらに、すでに進行している新たな書籍の執筆を進め、その刊行をもって本研究課題の完成としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、コロナウイルス感染症の影響により米国での史料調査を実施できなかったことによりものである。 残余の助成金は2022年度に米国での史料調査費用として使用する予定である。
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