研究課題/領域番号 |
18K12724
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
政所 大輔 神戸大学, 法学研究科, 助教 (30734264)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 保護する責任 / 国際連合 / 規範 / 国際関係論 / コンストラクティビズム |
研究実績の概要 |
本研究は、国際社会で規範として認知され始めている「保護する責任」の実施が何によって規定されるのかを明らかにすることを目的とする。この目的を達成するため、①国際規範の動態に関する既存研究を規範の実施の観点から検討して分析枠組みを構築し、②具体的な問題(国際連合安全保障理事会の意思決定、同理事会の行動を促すアクターの戦略・論理など)を解明するために、インタビュー調査および資料収集調査を行う。本年度は、当該研究プロジェクトの初年度であり、主にプロジェクト全体の枠組みを構築することを目的として研究を進めた。 本年度の研究実績としては、第一に、関連する文献の収集と整理を行い、基礎的な理論枠組みを構築した。具体的には、国際規範の実施にかかわる理論的な文献を収集し、簡単なレビュー論文を作成した。規範の実施については理論的な先行研究が多くないため、特定の問題領域(国連平和維持活動や持続可能な開発目標など)における政策の実施について考察した文献も収集して整理し、理論的な示唆を導出した。これは、本研究プロジェクト全体の見取り図であり、事例研究に適用する分析枠組みの基礎となる。第二に、この基礎的な理論枠組みを事例研究に適用した研究報告を行った。内容としては、保護する責任の規範が国連における意思決定に用いられる際に関連する過去の決議や声明などの影響を受けるプロセスを、上記の枠組みを使って分析したものである。この研究を、香港城市大学で開催された同大学と神戸大学の共同ワークショップで報告し、参加者と意見交換を行った。専門分野が異なる研究者からもコメントをもらうことができ、分析枠組みを精緻化するうえで重要な機会となった。 また、本研究に関係する国際規範の動態と市民保護について執筆した論文が、それぞれインパクト・ファクター付きの国際学術誌と図書(英語)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、特に分析枠組みの構築に時間を割く予定であった。関連する文献を収集して整理し、基礎的な理論枠組みは構築したものの、研究報告の機会が遅くなったため、枠組みを十分に精緻化するまでには至らなかった。当初は、International Studies Association 2019 Annual Convention(カナダ・トロント)で報告する予定であったが、2019年度から所属研究機関を変更することになり、同学会の開催時期に海外へ行くことが困難になったため参加を断念した。代わりに、2019年3月中旬に香港城市大学で開催された同大学と神戸大学の共同ワークショップで報告を行ったが、当初の予定通りに研究報告を行うことはできなかった。したがって、全体としてはやや遅れていると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は、①研究報告で得られたコメントをもとに分析枠組みを精緻化し、論文のかたちで公表すること、②事例研究を行うために必要なデータを収集し分析すること、である。2019年度は、論文の執筆を行うとともに、米国ニューヨークを訪れ、保護する責任の規範の実施に関してインタビュー調査や資料調査を実施する。また、国内および海外の学会で研究報告を行い、執筆した論文を査読付きの学術誌へ投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会に参加するための旅費および滞在費を確保していたが、上記の理由により参加することができなくなったため。 次年度使用額については、国際学会への参加費か、海外研究調査の費用として使うことを考えている。
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