日本の「経済大国」化に関心を寄せてきた政治外交史的な研究においては思惟様式の次元を掘り下げておらず、外交思想史的な研究においては1960年代以降の状況にまで手が及んでいない状況であった。そうした中で、本研究では「経済大国」日本を軸とした外交思想を俎上に載せ、その特徴として、基礎づけ主義的な思惟様式、諸資源の動因を促す〈利他〉と括りうる言葉の束、国内事情から切り離された言説編成、などを明らかにした。これらの成果は左記の研究史上の空白を埋めるものであり、1990年代以降の日本外交の変質を思惟様式の次元から展望する手がかりとなる。
|