本研究の目的は、鈴木九萬に焦点を当てて、戦前の連盟派外交官の戦後の活動を明らかにすることであった。鈴木は、戦前は欧州に在勤して連盟外交に携わり、戦後には終戦連絡地方事務局連絡官・横浜事務局長とその後継に当たる総理庁事務官・横浜連絡調整事務局長を務めた外交官である。本研究では、占領期に鈴木が記した日記を分析することで、その活動を明らかにした。その結果、(1)鈴木が占領軍、なかでも米第8軍とその司令官であるロバート・アイケルバーガーとのあいだに親密な関係を築いていたこと、(2)またこの関係を利用して、講和条約や独立後の安全保障に関する日本側の希望を二度にわたって米国に伝達していたこと、がわかった。
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