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2019 年度 実施状況報告書

複数財割当問題の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K12741
研究機関筑波大学

研究代表者

阿武 秀和  筑波大学, システム情報系, 助教 (30706734)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードマッチング・マーケットデザイン
研究実績の概要

論文"Dual-Organ Markets: Coexistence of Living and Deceased Donors"の専門誌掲載を目指して、改訂作業とおよび投稿を行った(本報告書執筆時点ではまだ論文受理にはいたっていない)。この論文では肺移植システム(日本の場合でいえば日本臓器移植ネットワークが中心となって行っている)においてドナー配分が行われる際に、どのようなメカニズムを利用することが妥当であるかを公理的手法を用いて研究しており、日本式メカニズムの瑕疵を公平性やインセンティブなどの観点からいくつか指摘するとともに、メカニズムを優先順位メカニズムに変更することによってそれらの欠点を克服することができることを示した。また、仮にドナー交換およびハイブリッド移植術式がシステムに導入された場合に、再び優先順位メカニズムが効率性・公平性およびインセンティブ両立性を満たすことも示した。これらの結果の社会的な意義としては、寄付された臓器を可能な限り有効活用するために実行可能な方法を一つ提示したということが挙げられる(なお日本移植学会の「ドナー交換腎移植に関する日本移植学会の見解」では腎移植の文脈でドナー交換は「推進すべきものではない」とされているため、後半の結果は日本においては潜在的な可能性としてのメカニズム研究であると言える。米国等のドナー交換が盛んに行われている社会においては、本論文の結果をただちにメカニズムに反映することが可能であると考えている)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

論文"Dual-Organ Markets: Coexistence of Living and Deceased Donors"の改訂作業に想定していたよりも時間がかかってしまい投稿を行う時期が予定より遅くなった。その結果として、その他の研究についても予定より割ける時間が少なくなってしまった。

今後の研究の推進方策

論文"Dual-Organ Markets: Coexistence of Living and Deceased Donors"の専門誌へ掲載を目指して、必要に応じて改訂作業と投稿を引き続き行う。また、この論文では優先順位メカニズムが中心的な役割を果たしているが、耐戦略性をはじめとする妥当な公理を満たすメカニズムが優先順位メカニズムのみであるという定理は複数財配分問題を含むいくつかのモデルで観察される結果であるため、この結果が成り立つ一般性の高いモデルは何か、という問題意識を持つことができた。今後はこの問題にも取り組みたいと思う。

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公開日: 2021-01-27  

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