最終年度の活動としては主に複数財配分市場の一つの例である肺ドナー配分市場に関する研究論文”Dual-organ market: Coexistence of deceased and living donors”の改訂作業及び投稿を行った。本論文は現行の日本式肺ドナー配分メカニズムの弱点を指摘したうえで改善提案を行っており、効率的かつ公平な肺ドナー配分メカニズムを設計することを目指した論文である。研究期間内に投稿先ジャーナルに掲載されるところまでこぎつけることはできなかったが、数回の論文投稿を経て原稿の質はかなり改善することができたので、引き続き掲載に向けた活動を継続していく。 また、次の2つの論文” A unified approach to strategy-proofness of the deferred-acceptance rule and the top-trading cycles rule”及び”A decomposition of strategy-proofness in discrete resource allocation problems”を出版した。これらの論文はマッチング市場におけるルール設計問題において最も重要な性質の一つである耐戦略性の理解を深める上で技術的に有意義な研究になった。 最後に、複数財市場が埋め込まれた優先順位が不完全なマッチング市場の研究を開始し、複数財市場研究のさらなる展開のための基礎的研究を行った。
|