名目金利の非負制約のような非線形性は、金融政策を行うにあたって非常に影響が大きい。実際に、各国の中央銀行は、2008年の世界金融危機や、2020年のコロナショックにおいて、そのような制約に直面してきた。本研究は、たとえば、自然利子率の計測が、名目金利の非負制約を考慮することで異なり得ることを示した。実質金利と自然利子率の差は金利ギャップと呼ばれ、金利ギャップが正のときは金融政策は引き締め的に、負のときは緩和的になる。本研究は、現実に多くの中央銀行が近年直面してきた、名目金利の非負制約が存在する際に、金融政策をどのように行えばよいのかについても示唆を与えるものである。
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