研究課題/領域番号 |
18K12746
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
柏木 昌成 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (20780836)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マクロ経済学 |
研究実績の概要 |
本研究課題は経済主体の自己実現的期待によってマクロ経済変数のダイナミクスをどの程度説明できるのかという問題について、理論的・定量的アプローチを用いて検証することを目的とする。本課題の補助期間の初年度である2018年度は労働市場を中心に取りあげ、失業と期待の関係についての先行研究を整理・比較検討し、またこれと並行して理論モデルを構築し分析することを試みた。 労働市場のマクロ経済学的分析においては、必ずしも求職者と雇用者が出会い雇用が成立するとは限らないという摩擦を明示的に取り入れたサーチ・マッチング理論が広く使われている。同理論を用いたマクロモデルにおいて、自己実現的期待が失業の発生にどのような役割を果たすのかという問題を出発点として本研究課題を進めた。この問題と関連の深い先行研究においては、上記の労働市場の摩擦を表現するものとしての求職者と雇用者のマッチング関数について、規模に関して収穫一定という仮定がおかれているが、これを変更した場合にモデルの理論的性質にどのような違いが生じるかを検討した。例えば規模に関して収穫逓増を仮定した場合において、モデルを解析的に分析するにあたり当初予定していた手法が適用できなくなることを見出した。(なお、マッチング関数の性質について、規模に関して収穫一定以外の仮定をおいた研究も本研究課題とは別の問題意識の下で行われるようになってきている。)この(暫定的な)結果を踏まえ、理論モデルの構築とその解法について、現在再検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論モデルの分析に際し、当初予定していた手法が適用できないことが判明し、モデル構築およびその解法について再検討することが必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
解析的分析について上記の問題を解決するとともに、定量的分析へと発展させていくことを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた一部資料について、在庫状況の関係で2019年度に支出することにしたため。
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