研究課題/領域番号 |
18K12748
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
村上 弘毅 中央大学, 経済学部, 助教 (70803972)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マクロ経済学 / ケインズ経済学 |
研究実績の概要 |
平成30年度におけるこの研究の主要な成果は,査読を有する英文学術雑誌に掲載された論文1編(以下,「論文イ」という)及び査読を有する英文学術雑誌に受理された論文1編(以下,「論文ロ」という)並びに英語による研究報告3件である。 論文イ又はロは,ケインズ経済学の理論体系において,各々投資が資本の期待利潤率又は産出資本比率の増加関数である場合に,景気循環を伴う経済成長(以下,「成長循環」という)の経路が一意に存在するための条件を分析したものである。これらの論文は,現実的想定の下で,成長循環経路の存在及び唯一性を確認し,以て経済体系が時間の経過とともに唯一の成長循環経路に収束することを論じたものである。又,循環経路(又は周期解)の唯一性は,現実的想定の下でこれを証明することが困難であったものであるため,これらの論文は,この困難を克服するものである。 英語研究報告3件は,論文イ及びロに基づく研究に関する報告並びに浅田統一郎教授(中央大学)との,ケインズ経済学の理論体系における金融政策の効果に関する共同研究に関する報告であって,いずれも,ケインズ経済学の理論体系における成長循環に関する理論的研究に関するものである。 これらの成果は,いずれも,マクロ経済学における「短期分析」の対象たる景気循環の考察と「長期分析」の対象たる経済成長の考察を統合しようとする研究によるものであって,マクロ経済学における短期分析と長期分析の方法の統合というこの研究の目的に適合するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度におけるこの研究の成果は,マクロ経済学における「短期分析」の対象たる景気循環の考察と「長期分析」の対象たる経済成長の考察を統合することを目的としたものであって,この研究の目的に適合するものである。 しかし,この成果は,ミクロ経済学的基礎に基づくものではないために,ミクロ経済学的観点から充分な検討を行うことを必要とするものである。 これがため,現在におけるこの研究の評価は,これを「おおむね順調に進展している」ものとする。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度においては,研究計画を遂行するとともに,ミクロ経済学的観点から,平成30年度の研究成果を検討する。特に,動学的観点から,家計の消費行動に関するミクロ経済学的基礎を再考し,この結果に基づいて,企業の生産行動に関するミクロ経済学的基礎を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度における次年度使用額は,1万円未満であって,使用計画を遂行することができなかったことによるものではない。又,この使用額は,少額であるため,令和元年度の助成金の使用計画に大きな変更をもたらすものではない。
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