研究課題/領域番号 |
18K12751
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
大槻 忠史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (20809066)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 旧制高等商業学校 / 経済調査 / 経済学の制度化 / 東京外国語学校所属高等商業学校 / アントワープ高等商業学校 |
研究実績の概要 |
本研究は、19世紀末から第二次世界大戦終了時まで存在した旧制官立高等商業学校(以下、高商。全16校)で行われた経済調査活動を考察することで、欧米諸国からの経済学の「輸入」と「消化」の実態を明らかにし、日本経済思想・学説史における旧制高商の経済学者の役割とその位置付けを明確にすることを目的とする。従来の研究では、ドイツ歴史学派や帝国大学での経済学が主な対象となってきた。本研究により、途上にある日本経済思想史の構築に重要かつ新たな視座を示す。 初年度である2018年度は、研究計画に基づき、経済調査活動の黎明期を中心に考察した。とりわけ注目したのは、当時世界的に最もレベルが高いとされたベルギーのアントワープ高商(1852年開校)をモデルに、1884年に東京外国語学校(現、東京外国語大学)に設置された東京外国語学校所属高等商業学校で行われた商品収集を主とする調査活動である。これについては、社会思想史学会第43回大会(2018.10.28. 於:東京外国語大学)で報告を行った。 黎明期の特徴を明確にするために、その手がかりとして1930年代及び40年代における経済調査についても考察を進めた。それらの成果として、次の2つが挙げられる。(1) 学会報告:「赤松要の「世界経済構造の変動理論」とその変化:1930-70年代」経済学史学会 第82回全国大会 (2018.06.02. 於:東京大学・本郷キャンパス)、(2) 研究会報告:「経済学の存続をかけて:1943-45年の官立高商と地場産業」東京外国語大学2018年度 第4回海外事情研究所 特別研究員研究会 (2018.11.28. 於:東京外国語大学・海外事情研究所)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の収集と分析、及びこれに基づく報告を行っているため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき、2019年度は、欧米からの調査方法が日本に紹介され、適用される1920年代から30年代半ばを考察対象とする。これらについて、以下の学会にて報告を行い、それらをもとに学術雑誌への投稿を予定している。
(1) 日本経済思想史学会 第30回大会、2019.6.15.-16. 於:長崎大学・片淵キャンパス (2) The 32nd HETSA Conference (History of Economic Thought Society of Australia), 2019.10.2-4., at the University of Sydney
|
次年度使用額が生じた理由 |
参加学会及び研究会の開催地がいずれも東京であり、旅費の支出が予定額を必要としなかったため。 2019年度は、国内資料調査を数度、及び海外での報告を行うため、そこに使用する。
|