研究課題/領域番号 |
18K12751
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
大槻 忠史 摂南大学, 経済学部, 講師 (20809066)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 旧制高等商業学校 / 経済調査 / 長崎高等商業学校 / 名古屋高等商業学校 / E.F. ペンローズ / 生産数量指数 / 植民政策 |
研究実績の概要 |
2021年度は、まず、昨年度進捗状況を「やや遅れている」とした点について、考察した。その上で、当初の研究計画に基づき、ここまでの研究成果を反映させ、戦前高商の経済学者による調査活動についてまとめることに重点を置いた。 前者については、名古屋高等商業学校(現、名古屋大学 経済学部)のE.F. ペンローズ(ケンブリッジ大学卒業)が日本に滞在時(1925-30)に進めた生産数量指数の研究について、彼の研究が第二次世界大戦下の日本の経済学者に与えた影響について考察した。2019年度後半から行ってきたこの研究成果は、オーストラリア経済思想史学会(HETSA)の雑誌History of Economics Reviewに"The Economic Research of E. F. Penrose in Japan during 1925-30: The ‘Undelivered’ Message to Pre-war Japanese Society"として掲載された。なお、同論文はオープン・アクセスとなっている。この研究は、2018-20年度に考察を進めたアントワープ高等商業学校とは異なるルートで、欧米諸国での経済調査活動が日本の高商に導入された事例を示したといえる。これは、従来の日本の経済学の発展に関する研究では、ほとんど検討されてこなかった点である。また、名古屋高商以外についても、戦時下の高商で行われた経済調査活動に関する資料の収集、及び分析を進め、各学校間での比較を試みた。これについては、次年度論文にまとめ、投稿する予定である。 後者については、訪問可能な公共図書館、及び国立国会図書館や高商の後継大学のリポジトリなどのオンライン資料を利用し、資料収集と分析を行った。これについては、次年度も継続し、全体の研究成果をまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
必要となる資料の収集が、社会状況的に難しかったため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画上、現時点で不足している資料と、それらを所蔵する大学図書館、及び公共図書館や研究所の訪問者の受け入れ状況とを考慮しつつ、資料の収集を行う。報告についても、国内外のオンライン等で行われる研究会や学会で報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
報告・参加を予定していた学会や研究会等がオンラインでの開催となったこと、また、資料収集も難しかったことにより、旅費の支出を必要としなかったため。 現地での資料収集が難しく、またILLによる入手が可能なものについては、複写代及び送料に利用する。所蔵館が限られ、ILLによる入手が難しく、かつ訪問が可能な場合は、旅費及び複写代に利用する。
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