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2021 年度 実績報告書

垂直分離された公益事業における最適な組織間調整システムについての研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K12771
研究機関神戸大学

研究代表者

中村 絵理  神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00611071)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード公益事業 / 下水道事業 / 包括委託 / 官民連携 / 外部委託
研究実績の概要

本研究では、生産と管理という二つの事業プロセスが垂直分離された公益事業の組織最適化の例として、生産業務の外部委託の際に考慮すべき問題と期待される効果について分析することが目的であった。最終年度では、その例の一つとして、日本の下水道事業で頻繁に見られる官民連携の一つの形態である包括委託契約が、ロックイン効果を引き起こしているかどうかを実証的に分析した。ロックイン効果とは、契約相手との取引を通じて資産特殊性が形成され、競争的な仕組みの契約形態であっても同じ契約相手に縛られることで生じる非効率性である。包括委託は、委託業務の遂行のみを規定する通常の業務委託と異なり、資産の補修や原材料の発注などについても受託者の裁量を認めるために委託範囲が広く、契約期間も長くなる傾向があり、ロックイン効果が起こりやすいと考えられる。2007~2017年の全国の下水道事業における包括委託費用を分析したところ、委託範囲が広くなるほど、また契約期間が長くなるほど委託費用が高くなることが明らかになり、ロックイン効果が確かに存在することがわかった。また、契約更新ごとに行われる費用の最適水準への調整は、初回更新の際に大きく行われるものの、2回目以降の契約更新ではほとんど行われないことがわかった。本研究で包括委託の契約デザインについての望ましい在り方が明らかにされたが、今後の研究の発展として、ロックイン効果による費用上昇効果が、包括委託に期待される費用削減効果を上回るかどうかを実証分析することが考えられ、さらなる発展の余地を残している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 部分調整モデルによる包括委託におけるロックイン効果の推定: 日本の下水道事業のデータを用いた実証分析2022

    • 著者名/発表者名
      中村絵理 、中岡孝剛 、浦上拓也
    • 雑誌名

      国民経済雑誌

      巻: 226(3) ページ: -

  • [雑誌論文] The Lock-in Effect on Outsourcing Contract Costs: Empirical Analysis of Management Contract in Japan’s Sanitation Businesses2021

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, E., T. Nakaoka, and T. Urakami
    • 雑誌名

      Kobe University Discussion Paper Series 2021.26.

      巻: 26 ページ: -

  • [学会発表] The Impact of Lock-in Effect on Costs in Comprehensive Outsourcing Contract: Empirical Analysis of Japanese Sanitation Businesses2021

    • 著者名/発表者名
      Eri Nakamura
    • 学会等名
      The 20th International Conference of the Japan Economic Policy Association
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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