本研究課題は輸送費用の低下が、貿易協定の持続可能性に及ぼす影響に着目し分析を行ってきた。特に、政府が貿易政策のみならず環境政策や国際インフラ投資等の複数の政策を実施する状況を分析できる枠組みを提供し、これらの政策が国際貿易とどのような関係にあるのかを明らかにした。基本的な分析では輸送費用の低下が非対称的な2国間での貿易協定をより安定的な状態に促すことが明らかになった。そのため、関税以外の要因で生じている国家間の輸送費用(例えば、文化や言語の違いによる障壁や税関手続きの煩雑さ等)を積極的に取り除くことによって、当該国間での貿易協定を強固なものにできることが示唆された。
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