研究課題/領域番号 |
18K12774
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
大浦 あすか 大東文化大学, 経済学部, 講師 (10784019)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経済成長 / 参入規制 / 技術開発 |
研究実績の概要 |
本研究では(1)企業が生産を行う財の品質についての評判や、(2)環境汚染の状態が時間をかけて蓄積することを考慮し、長期的な厚生について分析を行い最適な政策を提示することが目的である。 本年度は昨年度に引き続き(1)の研究を重点的に行なった。品質が直ちに観測されないような財が存在するもとで、企業の研究開発のインセンティブを考慮した経済成長モデルを構築し、英語論文”Long-Run Welfare-Improving Regulation: When Experience Goods Matter ”としてまとめた。研究結果として、参入規制政策を行わない場合は、技術開発を十分に行わず低品質の財を生産する企業と、十分な技術開発を行い高品質の財を生産し続ける企業が常に市場に混在することを示した。また、参入規制政策により、低品質の財を生産する企業を排除することで経済厚生を最大にすることができ、その政策の規模は企業が市場参入前に行う技術開発費には比例するが、参入後財の生産を行うときの限界費用には依存しないことを明らかにした。先行研究ではされていなかった移行過程の分析ができたことと、経済政策を考慮する際に政策の費用が経済厚生に悪影響を与えることを考慮したことが貢献である。研究結果は2020年度日本経済学会秋季大会でポスター報告し、コメントをもとにモデル設定や結果の解釈を改善した。しかし、移行過程の安定性分析が不十分であることが課題として残っており、次年度はこの課題に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1)の研究については研究報告を行い、新たな課題が見つかったため、投稿を遅らせて分析を継続中である。(2)の研究については今年度はほとんど研究に着手できていない。新型コロナウイルスのため、オンライン授業を作成する必要がありその対応に時間を取られてしまい研究時間を確保できなかったことが原因である。次年度については、新たに特殊な対応をする必要もなく、例年通り時間を確保できるため、遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)については、移行過程の安定性の分析を行い論文を完成させる。現状では解析的分析が困難であり、現実を反映した数値例を複数示す予定である。分析後、年度内に国際雑誌に投稿する予定である。 (2)については、一国の長期的な経済厚生のみを分析するのではなく、昨今の脱炭素に向けた世界的な取り組みを考慮した経済政策についての分析を追加する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で国際学会に参加することができなかったため。 次年度は雑誌投稿や英文構成に費用をあてる予定である。
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