研究実績の概要 |
2018年度中に執筆しワーキングペーパーとして発行した論文”Indirect Policies for Poverty Alleviation through Education Systems in Developing Countries”を、2019年6月に開催された日本経済学会春季大会および、2019年10月に開催されたXXth International Conference on Business, Economics, Law, language & Psychologyで報告し、学会参加者との議論を経ながら論文の改定に努めた。その際、論文のタイトルを”Poverty Alleviation and Correction of Income Disparity through Fiscal Spending on Education”に改め、国際雑誌である”Poverty & Public Policy”に投稿し採択された。 効率性と公平性の両立は、社会を経済分析する際にしばしば直面する重要な問題の1つである。本研究では、教育政策の理論分析をする中で、公平性を重んじる政府はもとより効率性を重んじる政府が、人的資本蓄積を促進するために学校への投資を行う際に、同時に各児童・生徒・学生たちの家庭での教育環境を改善する政策を打ち出すことで、効率性と公平性の両立に成功し、所得格差の是正や貧困削減も実現可能であることを理論的に明らかにした。 政府が効率性を重視するのか公平性を重視するのかは、各国の文化背景、社会情勢、時代によって変動すると考えられるが、どのような政府が政策を実施したとしても安定的に公平性が保たれるメカニズムを示した本研究は、今後、特に途上国において、有効な教育制度を確立する上での一助となりうる。
|