研究課題/領域番号 |
18K12787
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研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
研究代表者 |
池内 健太 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 研究員 (20625496)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イノベーション / 研究開発 / 人工知能 / 知的財産権 |
研究実績の概要 |
本研究は、科学技術の経済的な影響に注目し、企業や大学などのプレスリリースや特許情報、企業の有価証券報告書などのIR情報、新聞記事やインターネット上の情報サイトの記事などの非構造化テキスト情報から学術界・産業界における科学技術の動向と産業界での製品化(イノベーション)に関する情報を抽出し、それらの情報を企業・研究機関別に整理したデータベースを構築・解析することで、科学技術の発展がイノベーションに与える影響について実証的に分析することを目的としている。 1年目にあたる本年度はデータ収集及びデータ解析のための環境構築に注力した。まず、データ収集の面では、企業や大学などのプレスリリース、企業の有価証券報告書などのIR情報、新聞記事やインターネット上の情報サイトの記事などのテキスト情報、日本の特許庁に出願・登録された特許・商標・意匠の文献情報を収集・整理した。加えて、深層学習など最新の分析手法について調査を行い、ハードウェアとソフトウェアの両面から必要な分析環境を整備した。 さらに、収集したデータを用いて、いくつかの予備的な分析を行った。第1に、人工知能技術を例にとり、公的な研究資金と科学的・技術的な研究成果に関する日本の最近のトレンドを概観し、人工知能技術に関連した研究成果の質と量の決定要因に関する実証分析を行った。その結果、人工知能研究における産学連携の重要性が時間を通じて高まっていること示唆する結果が得られた。第2に、空気調和装置(エアコン)に関連する特許を例にとり、特許の要約のテキスト情報を用いて企業の発明技術の特徴を分析することで、企業の製品戦略と研究開発戦略との対応関係が把握できる可能性を検証した。第3に、科学研究プロジェクトの概要文を例にとり、テキスト情報に基づく深層学習の手法を用いた分類器の開発に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2021年度までの4年間の予定であり、本年度は1年目にあたる。当初の計画通り、データの収集及びデータ整理に供するワークステーションを調達し、データベースの構築にとりかかることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後本プロジェクトの2年目以降、本年度までに構築したデータベースの評価と改善を行うとともに、以下のような学術的「問い」を検証していく。①企業における知的財産権の活用がイノベーションに与える影響、②特許が新製品・新サービスの開発に結び付く確率と時間的ラグ、その決定要因、③学術的な基礎研究が産業界でのイノベーションに結び付くプロセスと時間的ラグ、などである。特に、人工知能やIoT技術といった近い将来に産業応用が期待されている最近の先端技術の将来の経済的影響について、実証的な視点から考察を行い、政策的含意を導き出す。研究成果は国内外の学会やワークショップなどで報告し、論文や報告書を国内外の雑誌に投稿して広く社会に公開する。また、構築したデータベース自体も著作権などに留意しつつできる限り広く公開していく計画である。 また、データの分析にあたっては情報工学の専門家との学際的な共同研究にも積極的に取り組んでいくことを目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初調達を予定していた特許データベースの一部が所属機関において利用可能であることがわかったため、約23万円の残額が生じた。次年度請求した助成金30万円と合わせて、研究成果の学会報告のための国内外旅費やデータの整備に関する研究補助員への謝金などに使用する予定である。
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備考 |
研究代表者の研究業績については下記を参照されたい。 https://researchmap.jp/ks_ikuc/
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