研究課題/領域番号 |
18K12789
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
若松 宏樹 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 研究員 (90722778)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 漁業資源 / 差分の差分法 / 持続可能性認証 |
研究実績の概要 |
MSC認証が資源に影響を与えているかどうかを検証するためにはまず、認証を受けた漁業と認証を受けていない漁業を比較する必要がある。比較可能な計量経済学的手法にどのようなものがあるか先行文献のリサーチを行った。また国際漁業経済貿易学会(IIFET)に出席し、最新の分析方法の情報収集に努めた。その結果、差分の差分法(DID)と回帰不連続デザイン(RDD)を分析の候補として特定した。そして次にDIDとRDDが分析可能なデータが入手可能かリサーチを行った。RDDを行うには、MSCに認証された漁業と、審査に落ちた漁業のデータが必要なため、MSCに入手可能かどうか打診したが、入手困難ということが判明した。そのため、精度は落ちるがMSCのHP上にある落選漁業の審査結果をデータ化することとなった。DIDは同一漁業の異時点間比較しする分析が考えられるが、まず魚種、漁業種、認証状態、漁業規模、認証時期が乗っているデータをMSC Assessment Reportが記載されているページにおいて収集した。マッチング後に特定された漁業主に限りスコアを収集する。研究補助員を雇用してデータ入力に当たる予定であったが、取得データが特定できなかったため、先延ばしにした。また、RAMLEGACYデータベースにある漁業資源評価結果を入手した。その他に、MSC日本事務所に訪問し、協力的な関係を構築し、今後の研究の遂行可能性を広げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの入手が予想以上に困難であり、データ収集の一部が先延ばしになったが、現実的な分析デザインとデータの特定が済んだため、来年度はデータの収集と分析に移る予定であり、概ね計画どおりとなっている。 また、RAMLEGACYデータベースの資源データのほとんどが2012年までであり、MSC認証は2010年前後から本格的になってきたため、認証後どのように資源が変わったかということが現状のデータベースでは分析が難しい。比較対象を適宜変えて認証の効果を検証する必要がある。また、聞き取り調査によるとRAMLEGACYでも最新のデータも存在するという情報もあり、さらにデータベースを探って利用できるか検証する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
差分の差分法(DID)による分析を進めるため、データの入手を初めに行い、その後分析に移る。 そのために、RAMLEGACYの資源データの時系列がどのようになっているかを把握する。 もし当該データベースで分析可能であればそのまま分析し、そうでなければ各国の資源評価データを収集し、比較する方針に切り替える。 また、同時にMSCの審査結果のスコアもデータ化し、RDDの分析を行う。 データに大きく左右される研究であるため、データが揃って分析できるのでれば結果を学会で報告する。特に近年MSC認証の研究が加速しており、当該研究の成果と同様の成果を他の研究者(団体)が先に出されないように分析を急ぐ必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度にデータ入力のために人件費を支払う計画を立てていたが、入力するデータを特定する作業が難航したためにデータ入力を次年度以降に変更したため、次年度使用額が生じた。
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