研究課題/領域番号 |
18K12790
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
宮崎 雅人 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (20553069)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 国民健康保険 / 保険料軽減 / 市町村民税所得割 |
研究実績の概要 |
本研究は,国民皆保険成立とほぼ同時期に行われた市町村民税所得割の課税方式統一と標準税率導入という減税政策に着目し,地方税制の制度変更がどのような効果を持っていたのかを明らかにしようとするものであり,次の三つのフェーズにより進められることになっている。 (1)国民皆保険が成立した1961年度から1970年度までの10年間の国民健康保険料収納率や各種社会経済変数のパネルデータを構築する。 (2)市町村民税所得割の課税方式統一と標準税率導入が国民健康保険料収納率に与えた影響を分析する。推定方法としては,制度導入時の外生ショックを利用した「差の差法」などを用いる。 (3)分析結果をまとめ,論文を執筆する。 2018年度は,(1)について実施した。データの制約等から,1962年度から1968年度までの国民健康保険料収納率等のデータを収集した。市町村別の保険料収納率のデータは,旧厚生省が公表していた『国民健康保険事業年報』では公表されておらず,全国市町村のデータは用いることができない。そのため,各都道府県の公立図書館や資料室に赴いて,各都道府県が発行する『国民健康保険事業状況』から得た。一部については都道府県庁に問い合わせ,資料の複写を依頼した。半数以上の都道府県においてはこの資料が残っていなかったため,現存するもののみを利用した。その結果,22都道府県のデータを収集することができた。そして,この紙データをデータとして利用可能なような形にした上で,パネルデータの構築を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの入手からパネルデータの構築まで順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度に構築されたパネルデータに基づいて,市町村民税所得割の課税方式統一と標準税率導入が国民健康保険料収納率に与えた効果の推定を行い,論文を執筆する。日本国内の査読誌だけではなく,海外ジャーナルに投稿可能なレベルの論文を目指す。そのプロセスにおいて,学会報告も積極的に行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していたソフトウェアの購入を次年度に回したため,次年度使用額が生じた。2019年度には予定した支出を行う。
|