研究課題
本研究では家計データを用いて、若者の就学から就業への移行の要因を明らかにすることを目的としました。特に過去の学校教育が就業にもたらす影響について、労働要求側の要因も考慮して分析を行いました。初年度であるH30年度は当初の予定通り、家計調査のデータを用いて次の2件に関する実証分析を行い、H31年度は論文執筆を行い、インド及び香港の国際学会で発表しました。R2年度及びR3年度は論文の精緻化を行い、論文を投稿しました。1)就学時の就業が就職に与える影響に関する研究 これまでの研究では就学時の就労に関しては、ポジティブとネガティブ両方の効果を示す先行研究があります。そこで本研究では、ILOのSchool-to-Work Transition Survey (SWTS)の家計データ(22か国、n=17,768)を用いて分析を行いました。職業を得ることには就学時の就業がポジティブな効果があることが分かりました。ただし、就学時の就業は長期的な賃金についてはポジティブな影響がないことがわかりました。2)南アジアにおける女子の就学から就業への移行に関する研究 南アジアにおける未就業の女性は多く、男女の格差は大きいです。未就業の女性に焦点を当てて、特に学校教育が就業に及ぼす影響を確認しました。加えて、日本国内の若者の就業への選好を調べるためにインターネット調査を行いました。若者世代(18-30 歳)は上の世代よりも社会や会社にSDGsに積極的に取り組むことを期待することやSDGsに配慮した消費行動をすることが確認されました。また、大学生の就職の際の会社選びにおける選好を分析した結果、推定年収が低くてもSDGsへ積極的な取り組みを行っている企業を選好することが確認されました。この研究成果は国際ジャーナルに掲載されました。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Cleaner Production
巻: 292 ページ: 125932~125932
10.1016/j.jclepro.2021.125932