本研究では、介護職からの離職行動とその要因を実証的に分析した。特に賃金の果たす役割、および景気の変動が与える影響に着目して実証分析を行った。疑似パネルデータ手法を介護職従業者の個人レベルの詳細なデータに応用した分析の結果、時間当たり賃金と就業継続確率には統計的に有意な正の相関が確認された。ただし、賃金には内生性を考慮した推定方法では、統計的に有意な結果が得られなかった。また、景気変動を捉えるために用いた失業率も就業継続確率には有意に影響を与えないとする結果が得られた。一方で、正規雇用である事や勤務先の事業所や法人の規模が大きいほど、就業継続確率が高いことが推定結果より示された。
|