研究課題/領域番号 |
18K12802
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
内田 雄貴 成蹊大学, 経済学部, 講師 (30805495)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教育 / 不平等 / 投票 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、個人が教育選択(公的教育を受けるか、私的教育を受けるか)に直面する状況において、教育政策が経済成長や所得不平等に与える影響を政治経済学の観点から分析することである。平成30年度は以下の研究を行った。 親が自分の所得水準を子供に越えてほしいという願望を持つ状況における、所得不平等、個人の教育選択、および、投票を通じて決定される公的教育への支出水準の関係について分析した。具体的には、次のような状況を想定した。貧しい家計と豊かな家計が存在し、親が子供の教育選択を行う。公的教育の財源は政府が徴収する労働所得税であり、子供に私的教育を受けさせる親でも税を支払わなければならない。政府は、社会において多数派を占める貧しい家計(有権者)の選好を考慮し、政策決定(1人当たり公的教育支出額、労働所得税率)を行う。 分析の結果、次の3点が明らかになった。(1)所得不平等度が高い場合、豊かな家計から貧しい家計への再分配効果が大きいため、貧しい親ほど子供に公的教育を受けさせ、自身の願望も満たされやすい。(2)親が子供に私的教育を受けさせる場合、私的教育の費用だけでなく、公的教育のための税負担もしなくてはならない。そのため、親は十分に私的教育を受けさせることができず、自身の願望は満たされにくい。(3)投票を通じて決まる1人当たりの公的教育の支出額は、社会における貧しい家計の割合と所得不平等に依存する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文の執筆には至らなかったが、政治均衡の導出が完了し、分析上大きな進展があったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果をもとに、動学分析を行い、研究結果を論文にまとめる。また、研究計画書に記載してある教育バウチャーの研究に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、所用により当初予定していた学会に参加できず、旅費の支出がなかったためである。使用計画については、次年度の物品購入および、学会参加の旅費として用いる予定である。
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