研究課題/領域番号 |
18K12802
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
内田 雄貴 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (30805495)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育 / 投票 / 政治経済学 |
研究実績の概要 |
次の2つの研究を行った。1つ目は、高齢化(寿命の増加)と政府の教育支出・年金支出に関する研究である。本研究の特徴は出生率を内生的に扱っている点にあり、これによって、政策決定における若年世代と老年世代の政治的ウエイトに対し、高齢化が与える影響をモデルに組み込むことが可能となる。本研究では、人的資本と物的資本を考慮した世代重複モデルを用いて分析を行い、寿命の増加は出生率の低下、政府の教育支出の低下、政府の年金支出の増加をもたらすことを示した。また、OECDの寿命データを用いたシミュレーション分析を行い、寿命増加を伴う高齢化の進展とともに、経済成長率が低下することを明らかにした。さらに本研究では、政府の年金支出削減が経済に与える影響についても分析を行っており、年金支出の削減によって、出生率は低下する一方、政府の教育支出と経済成長率は上昇することが分かった。 2つ目は、親が子供に自身の所得水準を超えてほしいという願望をもつ状況における、教育選択と不平等の研究である。この研究は、過年度から継続して行っているものである。研究の目的は、(1)投票を通じて選ばれる政府の教育支出が不平等の程度に応じてどのように変化するかを明らかにすること、(2)長期的に不平等度はどのような水準になるか、また、そのとき親の願望は実現しているか否かを調べることの2点である。今年度は、これまでに得られた定性的な分析結果の検討、および、定量分析の方針の決定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢化と政府の教育支出・年金支出に関する研究において、シミュレーション分析を行い、分析内容を充実することができたため。また、教育選択と不平等の研究において、定性的な分析結果の検討、および定量分析の方針の決定といった進展があったため。
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今後の研究の推進方策 |
高齢化と政府の教育支出・年金支出に関する研究について、学術誌への投稿を行う。また、教育選択と不平等の研究について、今年度に立てた方針をもとに定量分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナにより当初予定していた国内出張などを実行できなかったためである。使用計画については、次年度の物品購入に充てる予定である。
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