研究課題/領域番号 |
18K12806
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
小嶋 健太 関西大学, 経済学部, 准教授 (00634247)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 政府間関係 / 出向 / 人材配置 / 内部労働市場 |
研究実績の概要 |
本研究は,中央・地方政府間出向制度の人事政策としての側面に焦点を当て,この制度が公的部門における効率的な人材の配置に与える影響を解明することを目的としている。2021年度の実績は以下の3点に要約される。 第一に,昨年度に引き続き,旧自治省官僚のキャリアパスの定量的分析を実行するためのデータを整備した。過去に入手した資料を用いて生年月日や学歴などの個人属性の情報を追加し,データ構築に用いた資料原典における表記揺れを修正するなどを行った。 第二に,現段階で整備できているデータセットを用いて,Baker, Gibbs, and Holmstrom (1994) にならい,組織階層のランクを推定した。その結果,政令で定められている標準的な官職と整合的なランクが得られた。 第三に,Kojima and Takii (2019) にならい,ジョブ・バリューの算出を行った。ジョブ・バリューとは,個別のポジションの間の遷移確率を用いて,そのポジションを経験した後の将来のキャリアの見込みを推定したものである。その結果,同一の階層ランク内でも,将来の昇進の見込みはポジションによってばらつきがあり,Kojima and Takii (2019) の手法が旧自治省の組織に対しても適用可能であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データセットの完成に必要な資料の収集が,新型コロナウイルスの影響により完全に達成されていない。資料を所蔵する図書館に行って資料の必要な箇所を自ら探す必要があること,図書館側の厳格な基準により複写が承認されなかった図書館が遠方にあること,同じ資料を所蔵している図書館が近隣にはないことが,資料収集を停滞させている。現段階で整備できているデータセットを用いて,ある程度の分析は実行できており,今後の見通しを立てられてはいるものの,研究目的を達成するためにはデータセットを完成させることが最優先である。
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今後の研究の推進方策 |
第一に,データセットの完成に必要な資料の収集を行う。特に,本研究の主要な資料となっている『内政関係者名簿』のみならず,個人属性の情報を捕捉するための資料を追加的に収集する。そのうえで,収集した資料すべての電子化を完了させ,旧自治省官僚の完全な人事データを構築する。研究目的を達成するため,欠損のない完全なデータセットの構築のための取り組みを続ける。なお,前年度に資料の複写を拒否された一部の図書館に対しては承認に向けた交渉を行うとともに,代替案も検討する。 第二に,推定された組織階層のランクとジョブ・バリューを用いて,官僚のキャリアパスの特徴を分析する。出世街道を歩んだ人とそうでない人でキャリアパスにどのような差異が観察されるかを明らかにする。官僚にとって外部機会の価値がランクあるいは勤続年数によって異なるという現実的な想定と整合的になるよう,分析手法を工夫する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の遂行のためには,国内で閲覧可能なすべての『内政関係者名簿』を所蔵図書館に出向いて収集することが必要である。しかしながら,新型コロナウイルスの影響により,ほとんど実現できていない。この名簿の所蔵状況が遠方にある複数の公共図書館に分散していること,同じ資料を所蔵している図書館が近隣にはないことから,資料収集を次年度に持ち越しとせざるを得ない。それに伴い,名簿の電子化とデータセットの構築作業が当初の予定より遅れをとっており,これらを実行するための予算として次年度使用額が発生した。 名簿の複写を拒否された一部の図書館には,国内の他のどの図書館にも存在しない版が所蔵されているため,引き続き承認に向けた手立てを検討し,複写が承認されれば図書館に出向いて名簿を収集する。この作業にかかる旅費,複写費用等に加え,収集した名簿の電子化に予算を充てる。また,状況が許すならば,一時的な分析結果を学会や研究会等で報告するための旅費にも使用する予定である。
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