本研究では、非期待効用理論のポートフォリオ理論、資産価格理論への応用を検討した。研究成果は大まかに分けて、(1)高次の不確実性を忌避する曖昧性回避を加味したポートフォリオ理論の検証、(2)各時点の効用間の加重比率を定める時間選好率が通常とは異なるモデルにおける資産価格理論とポートフォリオ理論への含意の検証、となる。前者においては、データからの分布の推定精度が良好ではない時に曖昧性回避が有効であることや、一種の損失回避との観測的同値性を得た。後者においては、時間選好率が内生的に定まるモデルの提案とその検証、そして時間的非整合性を加味したモデルの検証を行っている。
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