研究課題/領域番号 |
18K12813
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 愛 神戸大学, 経済経営研究所, ジュニアリサーチフェロー (20813471)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Long term with firing / Sessional workers / Long-term contract / Stock-vesting options / Short-term contract |
研究実績の概要 |
この論文では、長期契約、短期契約、そして非常勤の職務形態に代表されるようなうまく行けば長期だけど途中で契約を打ち切られてしまう(一方的なクビ)ような形態のコントラクトのインセンティブやそれらの報酬形態の有効性の考察を行っている。 企業の経営者などは株価連動型報酬でいわゆる長期的な契約がなされている。ここで大事なのは、適正なインセンティブを与えているかどうかという問題である。とくに、欧米では、ストック・オプションや譲渡制限株式などの株価連動型報酬が経営者に対して適正なインセンティブを与えるためのメカニズムとして有効なのかどうかという事が研究者や実務家の間で盛んに議論されている。日本では相談役などの形で旧経営者が企業の中に居残っているということがよく問題にされている。しかし、これは日本の経営者の在職中の報酬が低い事とも関連しており、その問題を解決していくには株価連動型報酬の比重を高めていく必要があり、その意味でも日本でも株価連動型報酬の有効性の考察は必要不可欠である。こちらに関しての分析はほぼ完成。 現在とりかかっているのは、この論文の売りでもある、うまくいけば長期契約だが、途中で契約がいきなり破棄されてしまうような契約形態(モデル構造的には長期でクビになるコントラクト)である。オーストラリアでも日本でもアメリカでも一番搾取されやすい形態のコントラクトであり、また、法律があいまいである為、モデル化する際には基本的に長期でクビというコントラクトの分野ではあまり分析がなされていないものであるが、実際の具体例やパラメーター分析を行うにあたって、現状を調べている状況である。 また、短期契約に関してもほぼ完成。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、長期や株価連動型報酬という論文の骨格はできているが、モデルを分析すればするほど、そして、発表をすればするほど(あいにくコロナの関係で多くの発表や海外の大学でのVisitingが中止となってしまった)、非常勤の形態のモデルがまだUnder researched areaであり、この論文の一番のおもしろい点ではないかという事に気が付いた。 現状をきちんと反映したモデルにするために、やや調査が必要であるのだが、コロナの関係で実態の調査(人を雇って調べたりする)に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
長期でクビつきモデルをポリッシュする事。そして、3本のモデルをまとめる事。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナでヨーロッパの学会に行けなかった且つ、Visiting Positionもキャンセルした為。
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