2020年度は、国際的な資本流出入に直面する新興国における望ましい金融政策と資本規制(およびマクロプルーデンス政策)のあり方を検討するためのマクロ経済モデルの構築に取り組んだ。 新興国においては、先進国の金融政策や金利水準の影響を受けて、資本の流出入が起きやすく、そのことが、新興国の金融政策や物価、および景気変動に影響を及ぼす。そのため、新興国における望ましい政策のあり方を考える上では、資本規制やマクロプルーデンス政策だけでなく、金融政策との関係においてそれらの政策効果を検討する必要がある。そこで、2020年度は、Kitano and Takaku (2020) において構築した、国内と外国からの借入制約に直面する銀行部門を導入した小国開放経済の DSGE モデルに、価格の硬直性を導入することにより、銀行部門の対外借り入れにおける金融フリクションの大きさを考慮した上で、資本規制やマクロプルーデンス政策のみならず、金融政策の分析も行える理論モデルを構築した。
|